FRACTAL AUDIO FM3 ギタープロセッサー を考える エフェクターボード 使用例
FRACTAL AUDIO FM3 ギタープロセッサー を考える
FRACTAL AUDIO FM3 ギタープロセッサー を用い エフェクターボード を構築する上で、如何に有意義なエフェクト環境を構築するか?という事をテーマにしている本コンテンツですが、今回から具体的な接続例を挙げて行きます。
エフェクターボード 使用例:直列
FRACTAL AUDIO FM3 を エフェクターボード 上でマルチエフェクターとして利用する 直列接続の解説です。
直列接続は、エフェクターペダルを買った経験のあるギタリストであれば誰しもが経験している事かと思います。
そう!単純に in から入った信号 out から出し次段のエフェクターへ繋げていく「直列接続」となります。
上記の様に ギター → バッファー → コンプレッサー → 歪みペダル の後段に FM3 を設置しています。
今までの話の流れだと「空間系のみ」でFM3を入れるの?と思われがちですが、そうではないんです。もちろん、FM3のディレイやリバーブはパラメーターを細かく設定でき、エフェクト品質も超高品質ではありますが、それ以外にも多彩でハイクウォリティーなエフェクトが沢山搭載されています。
上記のシステムの場合、JCM800アンプヘッド + BECOSのコンプレッサーを用いた クリーンセッティングを主軸として、必要に応じてPATHOS の歪みを加えて運用するという感じですが、その後段に FM3をインサートすることで、FM3内の Drive (オーバードライブやファズ、ディストーション)やEQ、WahやChorus、Pitch系など、一般的に アンプヘッドの前段で利用するエフェクトが利用できます(この場合は初段のペダルはoffを推奨) また、FM3のAMP(アンプモデリング)も非常に有効です。
ギタープロセッサーでのアンプモデリングって、レコーディングする際のLine Outでしか使わないでしょ?と思われがちですが、いえいえ、サウンドメイキングに有効に働くんです。
あくまで、サウンドの要は JCM800アンプヘッドとなりますが、アンプモデリングの特性もダイレクトにJCM800に送れますし、アンプに備わっているEQや各種スイッチを可変させることで、JCM800のキャラクターが大きく変わりますので、アンプモデリングだけでも多彩なサウンドメイキングが可能になります。この接続の場合 曲のセットリストによって、前段のコンパクトエフェクターを踏み変える(on /off)と、FM3側のプリセットの切り替えが必要ですが、簡単なループスイッチャーを導入することで、1発で切り替える事ができますね!
コンパクトの空間系も良いですが、FM3の良い所は 設定をプリセット出来る 所にあります(当たり前ですが)
例えば、ペダルディレイ1個の場合、曲の途中、リードに入った時に「手動でディレイタイムを長くする」なんて現実的ではないですよね?もちろん Strymon TimeLine の様な高品質デジタルディレイを導入し、midiで制御するのも良いと思いますが、TimeLineで1個で¥57,200 しますので、その他のデジタルリバーブやEQ、オーバードライブやファズ、コーラスなどのアナログペダルやらなんやらで 結果20万円超+重量級のペダルボード になってしまうのであれば、FM3 1台で全て賄えてしまいます。
更にアンプモデリングの特性を活かしてJCM800 (JC120などでもOK)の音作りもできます。JCM800やJC120は殆どのリハスタに配備されてますので、アマチュアバンドなどで「自分のアンプを持ち運ばない」ギタリストでも、どこの環境でも概ね同じサウンドが作れると思います。
更には、後述の「ループスイッチャーを利用した運用」で、更に今時のギターシステムっぽい感じに仕上がりますよね。
エフェクターボード 使用例:ループスイッチャー
今まで直列だった人も、これからFM3を検討する人も、FM3を運用するのであれば是非 ループスイッチャー の導入をお薦めします!このループスイッチャーを使ってギターシステムを組む事こそが、ギタープロセッサーを使う最大の醍醐味なんです!
どの使い方でも最終的にアンプヘッド(コンボ含む)を使うという事を前提に書いてますが、ループスイッチャーを併用することで、スイッチャーの各チャンネルの ON / OFF や Midiでの制御も瞬時に行えますので サウンドメインキングの幅は無限大になる と言っても過言ではない程のシステムがコンパクトなエフェクトボードで組むことが出来ます。
今更ではありますが、ループスイッチャーって何ができるの?という部分に触れますが、簡単に言うと、ギターからの入力(input) から ループスイッチャー出力(Output)の間に、搭載しているチャンネル数だけ エフェクターを個別に繋ぐができ、プログラムで アクティブ / バイバス の制御ができる。という物になります。
上記のシステムの場合、以下の様な感じになります。
ギタ―
↓
DYNAX Junction Buffer
↓
Musicom LAB EFX-LEⅡ in (ループスイッチャー)
↓
Ch1 (P1) : BECOSコンプレッサー
Ch2 (P2) : FM3 In/Out 1
Ch3 (P3) : Overture プログラマブル オーバードライブ
Ch4 (P4) : FM3 In/Out 2
↓
Musicom LAB EFX-LEⅡ out
↓
MesaBoogie Mk5ヘッド input
ループスイッチャー自体の使い方は、一般的な使い方となりますが、重要なポイントを以下に記載します。
Ch2とCh4はFM3が接続されている
ここがギタープロセッサーならではのオイシイ所なんです。Ch2のFM3は BECOSのアナログコンプの直後に配置してますよね?これは、FM3内のWahやコンプ、ChorusやPitchなど 俗にいう歪み物の前に掛けるエフェクトを配置しています。その直後(Ch3)に好きなオーバードライブを持って来て、Ch4に再度 FM3が配置されています。
>>FM3は1台なのに ループスイッチャーの2ch分に使い分けてるの?と思うと思います。
そうなんです!ギタープロセッサー(FM3の場合)の場合、機器自体に Input2系統 / Output2系統 があり、EDIT画面でPan設定をLRに振り切る事で、
Input1 に配置されるエフェクトは Output1から
Input2 に配置されるエフェクトは Output2から
出力出来てしまうんです!
以下、FM3EDITの画面となりますが、左から入ってきた信号の直下のブロックに VolPan があると思います。この設定を In1 は L100% / In2 は R100% にすることで、FM3のInput1 と Input2 の信号は一切混ざることなく、それぞれの Outputから出力されます。
その入出力をループスイッチャーのチャンネルに個別に送っているという事になります。
この機能の素晴らしい所は「Ch2(in1)は 歪み物の前に掛けるエフェクト」のみ「Ch4(in2)は歪み物の後に掛けるエフェクト」をスイッチャーのチャンネルに割り当てられる事です。
この事で、Ch1~Ch3を利用して、好きなアナログペダル + FM3の歪やEQ、Chorusなどを使い 徹底的に拘った音作りが可能 になった後、Ch4では高品質の空間系のエフェクター使い放題 という夢のようなギターシステムが構築できる様になります。しかも 全てMIDI制御出来てしまう!
もっと言いますと、Musicom Lab EFX クラスのループスイッチャーであればTRSを利用して、ヘッドアンプのチャンネル切り替えも ループスイッチャーの方から制御できますので
アンプのクリーンに アンログコンプ+FM3 Chorus でカッティング
アンプのクリーンに FM3の空間系を駆使してアルペジオ
アンプのクリーンに アナログFUZZのみ
アンプのクリーンに FM3 アンプモデリングを足して別アンプサウンドに
アンプのクランチに FM3 スプリングリバーブ
アンプのクランチに FM3のワウを入れてバッキング
アンプのリードに FM3のディレイとリバーブ
などなど、アンプ側の制御という選択肢が増える事で、とんでもない数の高品質なサウンドバリエーションを生み出す事ができます。
ちなみに、ループスイッチャーは、昔からある 多チャンネルフットスイッチと異なります。
MIDI専用機などで多く見かけたフットスイッチって、 CH1~CH5位 + Bank AB 切り替え みたいな物でしたが、これの場合は、CH1を踏んだら「そのチャンネルに接続されているエフェクターのみ」が選択される 又は、特定のMIDI信号が送られる。という物でしたよね?
ループスイッチャーの場合は各チャンネルに以下の様なプリセットが可能です。
Ch1を踏んだら Ch1とCh3に接続されているエフェクタールーピングされる
Ch2を踏んだら Ch4のみアクティブ
Ch3を踏んだら Ch2とCh4がアクティブ
Ch4を踏んだら Ch1とCh4がアクティブ
Ch5を踏んだら Ch1とCh3 + Ch4 がアクティブ
という様に、これ踏んだら、このチャンネルと、このチャンネルがアクティブになる!という使い方となります。この事で、前段に繋ぐアナログコンプやオーバードライブなどを、いちいち Off にする必要がありません。必要の無い場合はプリセットに「そのチャンネル」をルーピングさせなければいい。ただそれだけです。
上記の Theone デモボードでは、Ch1 アログコンプ / Ch3 にMIDIオーバードライブ を入れてますが、ダンブル系アンプを併用するのであれば ファズとオーバードライブ!なんてのも有りだと思います。
1点ループスイッチャーで追記となりますが、当店含めて 世の中には安い物から高額な物まで沢山のループスイッチャーが存在します。1つだけ言わせてもらうと サウンド品質に大きな差が出てしまいますので、ループスイッチャーはケチってはいけません。エフェクターボード の ループスイッチャー の重要性 という記事でも紹介していますが、ループスイッチャー自体が「音質劣化を最小限に抑える為」の設計や構成パーツで組まれているという事が重要になります。是非、上記の記事を読んでみてください。
次回は、FM3を使った 4ケーブルメソッド(4CM)におけるアンプヘッドの運用 について書きたいと思います。
Fractal Audio FM3 は絶賛発売中です!
上記 デモボードでも利用している Overture MIDI オーバードライブは、100%純粋なアナログ回路と最先端のデジタル制御が可能なポテンショメーターと回路をスイッチングする素子を融合するこで作り出された、次世代のフル・プログラマブル・アナログ・オーバードライブです。
非常に便利な歪みペダルですので、是非 ご覧ください。
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