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IRローダーとは|種類と選び方をギタリスト向けに解説

IRローダーとは、キャビネットIRのWAVEファイルを読み込み、ギターの音にキャビネットとマイクの特性を加える機材やソフトウェアです。アンプをマイクで録ったような音を、スピーカーを鳴らさずにライブやレコーディングへ送れます。

このページでは、IRローダーの種類と選び方、つなぎ方、音が細いときの対処を解説します。THEONEはDYNAX IRの制作元として、さまざまな機材で動作を確認してきました。その経験も交えてお伝えします。

キャビネットの前に複数のマイクを立ててキャビネットIRを録音する様子

IRローダーの要点まとめ

結論から言うと、IRローダー選びで最初に確認したいのは、つなぐ音の種類と、読み込めるファイル形式です。

  • ペダルやプリアンプのライン信号を使うなら、ペダル型が手軽です。
  • チューブアンプのスピーカーアウトを使うなら、リアクティブロード製品を選びます。
  • すでにギタープロセッサーを持っているなら、内蔵のIR機能を試すのが先です。
  • 録音が中心なら、DAWのプラグインでも始められます。
  • 機材ごとに、必要なサンプルレートやIRの長さが違います。

IRローダーとは?キャビネットの代わりになる機材とソフト

IRローダーの役割は、スピーカーキャビネットとマイクの部分を置き換えることです。ギターの音はアンプで増幅され、スピーカーから空気へ出て、マイクで録られます。AMPの音だけをラインで出すと細く聞こえやすいのは、この最後の工程が抜けているためです。

IR(Impulse Response)は、インパルス応答を記録した短い音声データです。IRローダーはこのデータを使い、入ってきたギターの音にキャビネットの響きを計算で加えます。IRを入れ替えるだけで、Marshallの4発からFenderのコンボまで、キャビネットの違いを試せます。

IRローダーの種類は大きく4つ

IRローダーは、形と入力できる信号によって次の4つに分けられます。

種類 主な製品の例 向いている使い方
ペダル型 Strymon Iridium、Mooer Radar、HOTONE Omni IR、BOSS IR-2 ペダルボードの最後に置き、ライン信号をPAや録音機材へ送る
リアクティブロード Fryette Power Load IR、Suhr Reactive Load IR、Two Notes Torpedo Captor X チューブアンプのスピーカーアウトを受け、無音で録音や出力をする
ギタープロセッサー内蔵 Fractal Audio FM3、Line 6 HX STOMP、Neural DSP Quad Cortex、HOTONE Ampero アンプやエフェクトまで1台で音作りを完結させる
ソフトウェア Red Wirez MixIR3、Logic Space Designer、Cubase REVerence DAWでの録音、リアンプ、複数のIRのブレンド

ペダル型のIRローダー

ペダル型のIRローダーは、歪みペダルやプリアンプの後ろに置くだけで使えるのが利点です。USBでパソコンとつないで、好みのIRを本体へ読み込みます。ライブハウスのPAへ直接送る使い方にも向いています。

ただし、一般的なペダル型にはアンプのスピーカーアウトを受ける機能がありません。パワーアンプの出力を直接つなぐと機材を傷める恐れがあるので、接続先は説明書で必ず確認してください。

リアクティブロード一体型

リアクティブロード製品は、実際のスピーカーに近い負荷でアンプを受け止め、信号をラインレベルに下げてからIRを通します。パワー管まで含めたアンプの音を、大音量を出さずに録れるのが強みです。詳しい考え方はリアクティブロードの解説をご覧ください。

ギタープロセッサーのIR機能

多くのギタープロセッサーは、CABブロックやIRブロックに外部のIRを読み込めます。新しい機材を買う前に、まず手持ちのプロセッサーでIRを差し替えてみるのがおすすめです。標準のマイク設定がある機種では、マイクのシミュレーションを切ってから試すと、IRの音を確かめやすくなります。

プラグインのIRローダー

パソコンで録音するなら、プラグインが手軽です。DAWに標準で入っているコンボリューション系のプラグインも、IRローダーとして使えます。処理能力の範囲で複数のIRを同時に鳴らせるので、マイクの組み合わせを細かく試せます。

IRローダーの選び方|確認したい5つのポイント

1. つなぐ信号に合っているか

最も重要なのは入力です。ペダルやアンプのLINE OUTならペダル型、スピーカーアウトならリアクティブロードが基本になります。ここを間違えると、音が出ないだけでなく機材の故障にもつながります。

2. 読み込めるIRの形式

IRローダーによって、対応するサンプルレートや長さが異なります。たとえばStrymon Iridiumは96kHzのファイルが必要です。IRを購入する前に、お使いの機材が求める形式を確認してください。DYNAX IRには48kHzと96kHz、500msと42msのファイルを同梱しています。

3. 同時に使えるIRの数

プロの録音では、複数のマイクの音を混ぜることがよくあります。2つ以上のIRを同時に読み込める機材なら、同じ音作りを再現できます。1つしか使えない機材では、最初から複数のマイクを混ぜたIRを選ぶと便利です。

4. 出力端子と録音機能

PAへ送るならXLR出力、宅録ならオーディオインターフェース機能の有無を確認します。ステレオで鳴らしたい場合は、ステレオ出力に対応しているかも見ておきましょう。ヘッドホン端子があると、夜間の練習にも使えます。

5. IRの入れ替えやすさ

専用エディターの使いやすさも、長く使ううえで大切です。読み込みの手順は機種ごとに異なります。KEMPERはRig Managerで変換して読み込み、Line 6のHELIXはエディターでWAVEファイルを読み込むと変換されます。

IRローダーの使い方|読み込みから音作りまで

  1. 使いたいIRのWAVEファイルを用意し、機材に合う形式を選びます。
  2. 専用エディターやUSBメモリーなどを使い、機材へ読み込みます。
  3. プリセットや保存スロットにIRを割り当てます。
  4. 音量をそろえてから、複数のIRを聴き比べます。
  5. 気に入ったIRをもとに、EQやアンプ側の設定を整えて保存します。

聴き比べのときは、音量差に注意してください。大きい音ほど良く聞こえやすいので、同じ音量にそろえると判断しやすくなります。

IRローダーをつなぐ順番

基本の順番は、ギター、歪みやプリアンプ、IRローダー、PAや録音機材です。リバーブをIRの前に置くと残響にもキャビネットの特性がかかり、後ろに置くと録音後にかけたような澄んだ響きになります。どちらが正解ということはないので、作りたい音で選んでください。

IRローダーで音が細い、小さいときの対処

IRローダーの音が細いと感じるときは、原因の多くがIRの選択か音量の設定にあります。機材の故障を疑う前に、次の順で確認してください。

  1. 同じ音量にそろえて、別のマイク位置のIRと聴き比べる。
  2. シミュレーター側のマイクやキャビネットの設定が二重にかかっていないか確認する。
  3. 機材に合うサンプルレートのファイルを読み込み直す。
  4. アンプ側やプリアンプ側のEQを、IRを通した状態で調整し直す。

まずIRそのものを変えてみてください。マイク位置が変わるだけで音は大きく変わります。CapやCapEdgeは輪郭が出る一方で、音量が小さく聞こえることがあります。Coneを混ぜると中域と中低域に厚みが出ます。

Edgeの音は単体だと遠く聞こえますが、メインの音に少し混ぜると箱鳴りを足せます。DYNAX IRでは、メインの音を100として8〜15%ほどを目安にしています。

Iridiumで音が小さくなる場合は、IRIDIUMの音量に関する検証記事も参考にしてください。

マイク位置ごとの音の傾向

IRの名前にマイク位置が書かれている場合は、次の表を目安に選ぶと探しやすくなります。

位置 場所 音の傾向
Cap センターキャップの中心 輪郭がはっきりした硬めの音
CapEdge センターキャップの縁 高中域寄りで、エッジは穏やか
Cone コーンの中心 中域から中低域に厚みが出る
Edge コーンの縁 中低域から低域が中心で、箱鳴りを足すのに向く

スピーカーのCap、CapEdge、Cone、Edgeのマイク位置を示す図

IRローダーとDYNAX IRの組み合わせ

DYNAX IRは、国内で制作しているキャビネットIRです。ペダル型、リアクティブロード、プロセッサー、プラグインのどれでも使えます。機材ごとの動作確認の状況も公開しています。

キャビネットごとの違いやおすすめは、キャビネットIRの選び方とDYNAX IR全モデルの比較にまとめました。購入前にはモデルごとのサンプルIRをお試しいただけます。

THEONEストアでIR対応製品を購入すると、計15種類のDYNAX IRスペシャルバンドルが付属します。対応製品はIR対応製品の一覧からご覧ください。

IRローダーに関するよくある質問(Q&A)

Q. IRローダーとアンプシミュレーターは何が違いますか?

IRローダーはキャビネットとマイクの特性を再現するもので、アンプシミュレーターはアンプ部分の音作りを再現するものです。両方を1台にまとめた機材も多く、シミュレーターのCAB部分がIRローダーの役割を担います。

Q. IRローダーはどの順番につなぎますか?

基本は、アンプやプリアンプ、歪みペダルの後ろです。キャビネットの代わりになるので、音の流れの中でスピーカーと同じ位置に置くと考えるとわかりやすくなります。

Q. チューブアンプのスピーカーアウトに直接つないでもよいですか?

一般的なペダル型には、スピーカーアウトの信号を受ける機能がありません。パワー管を通した音を使うなら、ダミーロードやアッテネーターを備えたリアクティブロード製品を選びます。

Q. 無料のIRでも使えますか?

WAVE形式で、機材の対応形式に合っていれば読み込めます。音の良し悪しは機材だけでなくIRでも大きく変わるので、有料IRのサンプルと聴き比べるのもおすすめです。

Q. IRを読み込んだら音が小さくなりました。

マイク位置によっては音量が小さく聞こえることがあります。まずIRローダー側の音量を調整し、DYNAX IRならConeポジションを混ぜて調整してください。機材によっては対応するサンプルレートのファイルを選ぶ必要があります。

Q. IRローダーはベースにも使えますか?

IRはギターとベースのどちらにも使えますが、ベース用キャビネットで録ったIRが必要です。DYNAX IRはギターキャビネットを収録した製品です。

Q. DAWがあればIRローダーの機材は不要ですか?

録音だけならプラグインで足ります。ライブや、パソコンなしで同じ音を出したいときは、ペダル型やプロセッサーのようなハードウェアが便利です。

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