ギターメンテナンス :チューニングの安定性を左右する正しい ギター弦交換 の方法 |
ギターメンテナンス は、ビギナーからプロフェッショナルまで、全てのプレーヤーに必要不可欠な ギター弦交換
ギターメンテナンス を行う上で、ギター弦交換 をメンテナンスの一部として考えるかは意見が分かれるところかと思います。プレーヤーにとって必要不可欠な作業ではありますが記事として取り上げるのは「今更かよ!」と感じる方もいるかと思います。
しかし、演奏中のチューニングの安定性という意味で非常に大事な作業であり、ビギナーの方はもちろん「弦交換後のチューニングがなかなか上手くできない」「チューニングが狂いやすい」などお悩みを抱えているプレーヤーにも、改めて再認識して頂きたい項目でもあります。
今回は、弦交換の基本的な流れを代表的な2種類のストリングポストパターンで紹介していきます。また、この一連の作業で新たなメンテナンスの必要箇所を発見したりしますので、関連する部分にも注視しながら行いましょう。
ギター弦交換 に際して準備しておきたい物
弦の交換作業で使う道具といえば、まずはストリングスカッターでしょう。これは、弦を切断する為の必需品です。普通にニッパーと呼んでしまいますが、配線材などを切断するような物では刃こぼれが懸念されますので、刃の頑丈なツールを用意しましょう。特にベース弦などは、配線材用のニッパーでは絶対に対応できません。
著者の経験上お薦めするのは、刃物の町である新潟県三条市のマルト長谷川工作所が製作するKEIBAブランドですね。
他にも用意しておくと便利なのは、ペグ回しツールのストリングワインダー、汚れてもいいウエスなどです。どちらも必須というわけではありませんが、特にウエスは交換作業の合間で弦が張られてないうちにフレット周辺の汚れを落としておくチャンスなので、あるに越したことはありません。
実際の作業手順
それではさっそくギター弦を交換していこうと思いますが、古い弦を切る前にまず忘れずに行って欲しいのは、チューニングされている状態でのネックの確認です。もし反りなど問題があれば、この段階でネック調整をある程度行います。ネックの確認方法や反りの調整については別の記事でまとめていますのでこちらをご覧ください。
また、交換前に張っていた弦セットとは違うゲージに交換する場合は、ネックにかかるテンションが変化します。チューニング後に再度ネックの状態を確認して、トラスロッドでのネック調整が必要になりますので注意しましょう。
ネックに問題がなければ、弦をある程度緩めてから全ての弦を切り、ヘッド側、ボディ側とそれぞれ外していきます。弦を切らずに外すことも可能ですが、ボディなどへの打痕、傷などダメージを負うことが懸念されますのでお勧めできません。
Gibson(ギブソン)系の場合は、弦のテンションが無くなるとブリッジやテールピースが外れる状態になり、ブリッジはサムナットが回ってしまうと弦高が変化してしまいますので注意が必要です。
そしてこの段階では、フレット上に弦が無く各部の目視が安易な状態ですので、指板、フレット周辺はウエスで汚れを落としつつ浮きなどがないか?ブリッジ廻りは錆などで固着していないか?ナットスロット底面に割れなどないか?細かくチェックしましょう。
各部の確認を行い、問題がなければ新しい弦を張っていきましょう。もし指板やネック廻りに問題があった場合の対処方法は、また別の記事で解説したいと思います。
ギター弦交換 で大事なのは長さ
「ストリングポスト周辺で遊びを作らない事が安定したチューニングを生む」
新しく張る弦を巻き始める長さに関しては、モデル、仕様によって多少の差はありますが、基本は張る弦のストリングポストから2つ先のポスト分の長さで巻き始めるのが目安です。
極端に短ければストリングポスト内部で弦が滑ってしまったり、ヘッドストック側での弦テンションが十分に得られずにナットスロットから弦が外れてしまいます。また、長すぎれば巻いた弦が重なり団子状態になってしまいます。ポストに巻き付ける弦の長さを一定にすることはチューニングを安定させる第一歩です。
具体的に説明すると、例えば6弦を張る場合はおおよそ4弦のポストの長さで折り目を付けます。ペグヘッドのレイアウト(3+3)、ヘッドアングル、ストリングスガイドの有無などによって多少の違いは有りますが、ロックタイプのペグ以外は、この長さが基本になるとにお考え下さい。
ただし、ロトマチックタイプのペグでは、取り付けの六角ナットが干渉しポストの露出部分か少ない場合もあり、上記の長さから多少のアジャストが必要です。長さのアジャスト量はヘッドの厚みなどにもよりますが、特に5弦6弦などは団子状態になりやすいので、その場合は目安とした長さより短めにして調整してください。
この後、弦を巻く際にはペグのタイプによって作業が異なりますので、それぞれ説明します。
弦のポストへのセット方法
一般的な横穴に通すポストの場合
横穴が開いているタイプのポストの場合、弦は先に切らずに折り目を付けた箇所まで横穴に通し、テンションをかけながら巻いていきます。余った部分はポストの穴の中で遊びが無いように、逆方向に折り目を付けます。この弦の余った部分は色々な処理の仕方がありますが、ポストに固定出来たら余分な部分は切ってしまうのが一般的です。切らずにそのままのプレーヤーもいますが、怪我防止の観点からも切ることを推奨します。見た目もスッキリしますね。
スプリットシャフトのストリングポスト(Fender フェンダー社 Vintageタイプなど)の場合
一般的に、弦は最初に折り目を付けた箇所で切りますが、ここで一工夫しましょう。折り目の個所から若干(1㎜位)残して切ることをお薦めします。
これは折り曲がった弦の先端をポスト穴に入れるためで、ポスト内部で弦の滑りを防止しかつラウンドワウンド弦の外側が剥けるなどの防止になります。決して手間がかかる内容ではないので忘れずに行うことを推奨します。
Vintageタイプ(1971年ごろまでの仕様)のST、Teleなど3、4弦用のリテイナーが無いモデルでは、ほかの弦とテンションを均一化すべく、3弦4弦は長めに巻く必要があります。ちなみに著者は、ポスト3個分から4個分くらいで切っています。
巻き付ける際の注意点
弦をポストにセットしたら、後は弦をブリッジ側に引っ張りテンションを加えながら巻いていきます。巻き付け箇所(ストリングポスト)で緩みが起きないように注意しつつ、最初の巻き付け位置より下へ巻いていき、弦が重ならないようにしましょう。
巻きつける回転方向は、ペグヘッドのレイアウト(6L、3+3、リバースヘッドなど)によって違いがありますので、ビギナーの方はギター購入時の巻き付け方向を写真に撮っておくなどし、参考にしてください。ヘッド根本のナットにはそれぞれの弦が納まるスロット(溝)が巻き付ける方向に準じて切ってありますので、間違った巻き方向ではナット部分で弦が干渉してチューニングに弊害が生じます。
弦を全て張り終わったら、チューニング、ネックの反りを確認して作業完了です。
安定したチューニングを確保する為には、正しい ギター弦交換 が必須
ギターのチューニングは、演奏中のチョーキングやビブラート、アーミングなどの要因によって徐々に狂いが生じますが、これらはパフォーマンス中に起きることであり防ぎようがありません。しかし、弦交換時に正しい作業を行うことで、ペグでの弦の緩みを極力排除して備えたいところです。
実際のプレーに際して「チューニングの安定」に繋げるこのような一連の作業は些細な事と考えがちですが、プロアマ問わず、自身のパフォーマンスを最大限に発揮するために非常に重要なファクターの1つです。
たかが弦交換と思うなかれ。
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