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電源を甘くみると電源に泣く – エフェクター電源 は需要項目! | THEONE | ハイエンド エフェクターなどの解説

エフェクター電源 って超大事です!

エフェクター電源 (パワーサプライやコンセントなど)は、 エフェクターボード で利用するコンパクトエフェクターやマルチなどでも必ず関わってくるソースになります。
今回は、エフェクター電源 についてお話したいと思います。
まず、電源なんて何でも良いんじゃない? という意見もありますが

大間違いです!

仮に、アンプ直で「ブースターを1つだけ挟む」用途であれば、然程神経質にならなくても良いかもしれませんが、アンプ側はクリーンセッティングでエフェクターボードでギターのサウンドを構築する場合、電源に気を配るか否かで、雲泥のサウンドクウォリティーの「差」が生まれます。

エフェクターでサウンドを構築する場合、大半はDC9Vで動作するエフェクターかと思います。そのエフェクターの数にもよりもますが、一定以上のエフェクターを使用するシステムであれば自ずとパワーサプライを利用する型になると思います。今回はそのパワーサプライを使う前提でお話致します。

エフェクター電源 で注意するべきポイント

  • 1.エフェクターに必要な正しい電圧
  • 2.消費電流
  • 3.線材の種類
  • 4.パワーサプライの品質
エフェクター電源

エフェクターボード

1.エフェクターに掛ける電圧

後述する線材の種類やパワーサプライの品質にも関わってきますが、重要な事はエフェクターが必要とする電圧をしっかりと安定して供給するという事です。一般的にDC9V のエフェクターへの電源は、パワーサプライやアダプターを使用しますが同じではないです。
極端な話ですが同じDC9Vでも以下の様に

A. 楽器用に設計されていない安価なDC9Vアダプター
vs
B. 楽器エフェクター 用に設計されたパワーサプライと電源ケーブル

を比較すると、ノイズ・ダイナミクスレンジ・輪郭・出音の位置・音圧・太さのどれを取っても、アウトプットされるギターのサウンドは、誰が聞いても判るくらい明確なクウォリティーの差が生まれます。
答えを先にいうと、ギターという楽器の一部であるエフェクターに対して100%の力(電力)を供給していないアダプターやサプライが多くあるという事です。

なぜ、Aのアダプターの方が劣るのか?答えは簡単なんです

・アダプターが汎用品でありエフェクター用の設計ではない
・アダプターの電源のノイズ
・アダプターのケーブルの品質が粗悪

これらが、サウンドを少なからず劣化させています。

100歩譲って、アダプターが「ある程度しっかりとしている」場合でも、ケーブルが良くなければで、エフェクター本来の能力を発揮しません。逆にケーブルは良くてアダプターがダメでも同じ結果なんです。

2.消費電流

アダプターでもパワーサプライでも最大供給電流が定められています。
パワーサプライの仕様書などに記載されているDC9V/500mAなどの「500mA」というのがそれにあたります。この、500mAは「安定して供給可能な最大のアンペア数」という意味です。

エフェクターは、製品毎に消費する電力が異なります。
例えばオーバードライブや空間系であっても、20mAだったり100mAだったりします。仮に上記の500mAが上限のアダプターの場合、その先に繋ぐエフェクターの消費電流の合計が500mA以内であればOKということになります。

最近では、当店のデモボードにも採用しているSTRYMONのOjaiは1つのポートで500mAあります。そのポートが5個(増設も可能)ありますので、高品質なDCアダプターが複数あるのと同じ状態を僅か横幅15cm程度の大きさで作り出す事ができます。

ただ、アダプターでもハイエンド パワーサプライでも注意点はあります。

エフェクターの消費電力を信じるな!
先述、アダプターの許容範囲ならOK!と説明しましたが、OKになると「ギリギリまで」使いたくなったります。この「ギリギリまで使う」のが盲点だったりします。シンプルな1ボタンや1ノブのエフェクターや、オーソドックスな歪みペダル(Vo、Gain、Toneなど)であれば余り心配は要りませんが、近年主流となるデジタルエフェクターの場合、表記の消費電力を超える場合もあります。

仮に
・ブースター:20mA
・歪み:50mA
・マルチ:400mA

合計470mAとします。500mAが最大ですので全然余裕!と思った所、ノイズやプチプチ音のノイズ発することがあります。これは、最大供給能力に近いことで電圧低下を発生していたり、各機材が発するノイズを誘導してしまっているからなんです。

この場合はマルチエフェクターが原因となることが多いです。マルチエフェクターは概ね、LCDディスプレイや、かっこいいLEDの装飾が付いていると思います。LED1つ点灯しても 数mA消費しますので、許容量ギリギリまで繋いでしまうと「特定のセッティング」に切り替えた瞬間からノイズが乗ってくる事があります。ベストな電源を保つには許容量の7割以下で抑えておいた方が間違いないかと思います。

接続するエフェクターの種類に注意
これは気を使わなくてはならない場面が多いです。複数のエフェクターを同じアダプターや出力ポートで共有すると、電流は足りているのにノイズが発生する事があります。これは、繋ぎ方が悪いとか、増幅系だからとかではありません。

「電源の繋ぎ合わせる相性の問題」です。

同じ組み合わせでも、特定のエフェクター(例えばEQ)を別の電源ポートから取るだけで、ノイズが消える事もあります。EQから発するノイズを歪みエフェクターが増幅してしまっているケースです。この「ノイズ」が電源ケーブルから伝わってしまいます。
もし、電源を分岐してノイズが出るようであれば、上記の様な事を疑ってみてください。

3.電線の種類

これは段違いに変わります。と言っても「死ぬほど高い」のケーブルを使う必要はありません。少なくともメーター辺り¥100前後の物で十分ですしプロの現場でも、そんなもんです。
何が重要かというと電線

・構造上、自体にノイズが乗りやすいか?乗り難いか?という事
・線自体の太さ

この2点になります。
結論から言うと、以下の線がお勧めです。
九州電気 UL2468 AWG18×2 平行線 DCプラグ用電源ケーブル

価格的に¥110/m ですのでボードを組むのに10m買っても十分な長さがありますね。
各社からあれこれ出てますが、この線が一番良いと思います(高ければ良いってものでもありません)

理由はまず、DCプラグで使う事を前提に設計されギリギリまで内部の線(すずメッキ耐熱線)が太く作られている。
この手のシリーズでは一番太いと思います。この「内部の線の太さ」って非常に重要で、サウンドがまるで変わります(向上します)。当店の経験からですと、Strymonに付属している L型DCケーブルと同じ長さで作り、Strymonと比較をしましたが、まず音量(音圧)がまるで違います。またクリーンネス(弾いていない無音時のヒスノイズ)が激減しました。単音、コード和音共に音が太くなり中低域が上がり、音全体が1歩前に出てくる感じです。
「メーター¥110 + 自作用L型DCジャック¥80 × 2個」だけで、2ランク位サウンド品質が向上しました。
別にStrymonのケーブルが悪いのではなく「物理的なケーブル自体の構造」の恩恵です。

DCケーブルというと以下の様な1芯シールドが用いられる事もあります。
悪くはないですが、難点もあります。

DCケーブル 1芯 シールド

ギターシールドを例に説明しますとシールドケーブルは「真ん中の芯線」には音声信号が流れます。
そして外側のシールド部はアースです。シールドをアースに繋ぐ(落とす)ことで、外来からのノイズ(電磁波や電気的な輻射ノイズ)をアースに逃がし、音声の流れる芯線にノイズが入らない様にするのが目的です。
エフェクター一般的なDC9Vはそのほとんどがセンターマイナスです。つまりケーブルの芯線はアースで外側がプラスになります。そしてシールドケーブルをDCケーブルに流用すると、どうなるか?と言うと、芯線(マイナス電気)を守るためにシールド部分がシールド効果をします。しかしシールド部はエフェクターの動力となるプラス電気が流れていますので、プラス側にシールドが誘導したノイズが混入することになります。電気的な観点からも電力供給ケーブルにはシールドは不要です(特殊な用途は除く)

そこで、上記の九州電気製の2芯線「平行ケーブル」です。
2本の線が並行したレイアウト持っており、「線が太い!!」DCケーブルであればプラスもマイナスも考えなくていいですから、白ラインが入った方をプラスと決めて作業すればミスもありません。
上記のシールドケーブルとは違いキャパシタンスを軽減することは音質へ直結します。
価格的にも高くはありませんので、騙されたと思って使ってみてください。
こんな感じの簡単な物で良いと思います。

エフェクターボード

4.パワーサプライの品質

結論から先に書きますと「パワーサプライはケチるな!」の一言に尽きます。
当店のお勧めは上記にも記載した STRYMONのパワーサプライを断然お勧めします!STRYMONのパワーサプライは高価ではありますが、それだけ安定性した電圧と電流、そしてクリーンな電源供給が可能になっています。
現在3モデルありますが、中間の STRYMON Ojai R30 が扱いやすいかと思います。
このサプライは当店のテストボードにも採用しておりますが

・DC9V 3ポート
・DC9V / 12V / 18V(切替式) x2
※上記は全てアイソレート(1ポートが1つの電源として駆動)されています
・増設用の24V 出力

がありますので、ある程度の規模のエフェクターボードでも問題なく電源を供給できます。
エフェクターの拡張や1Aが必要なマルチ(LINE6 HX STONPなど)を導入する場合はどは、増設用24Vを利用して、Ojai(5ポート)追加なども可能ですので、Ojaiシリーズを基盤として電源の構築が可能となります。

ストライモン パワーサプライ

もう少し価格を下げて、アナログエフェクターメインなどであれば、Free The Tone PT-3D をお勧めします。
出力数はOjaiよりも多いですが、1ポート辺りの出力 100mAhとなりますので、アナログペダル1つに1ポートの電源を取る型での運用となります。
正直この「アナログペダル1つに1ポート」がノイズでは理想の繋ぎ方です。

フリーザトーン パワーサプライ

上記を薦める理由として「安価電源は導入する必要がない」と考えているからです。当店としていくらでも安価なパワーサプライは仕入れる事ができますし、音質を知らん顔して販売もできます。
でも結果

「良い結果は生まれない」

という事が解っていますので販売していないだけなんです。
もちろん、安価 = 粗悪 とかではありません。価格が安くてもメーカー側でちゃんと考えて設計していますので製品としては申し分ない性能を持っている物もあります。要点としては

重要な電源には妥協して欲しくない

という事のみとなります。
車で言うとタイヤとブレーキみたいなもんです。

今回は、電源についてお話させて頂きました。

纏めると

1.電線は並行ケーブルを利用。
2.1ポート辺りの許容量は7割まで。
3.電源(パワーサプライ)は可能であれば上位機種を導入。

となります。

押さえるポイントを最初から抑えて構築をしていけば遠回りしないで済む(電源の買いなおし等)ことにも繋がりますので、ぜひ参考にして頂ければと思います。

もう1点、電線の取り回し(ボード内での)などにも気を配る必要があり最重要項目ですが、人それぞれ エフェクターの数も違いますし、9V電池の人や、エフェクター3つにアダプター3つの人も居ますので、今回は敢えて触れませんでした。

ストライモン 電源

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