DYNAX IR キャビネットIR の活用方法 | THEONE | ハイエンド エフェクターなどの解説
DYNAX IR キャビネットIR の活用方法
2022年11月、満を持して発売となりましたDYNAX IRは、ギターアンプのサウンドに究極のリアリティーを加える キャビネットIR となっています。デジタル技術の発展と、音楽シーンの変化により近年 キャビネットIR はプロ・アマチュアギタリストを問わず非常に注目度の高い技術と言えます。今回は、キャビネットIR の活用方法について解説したいと思います。
エレキギターのプロセス
まず、エレキギターの音を必要最小限の機材で録音するには
エレキギター → ギターアンプ → スピーカー → マイク
が必要です。ライブやレコーディングでも同様で、それらのいずれかが欠けても音は鳴りませんし録音することもできません。近年シミュレーションによるギタープロセッサーが主流となっていますが、シミュレーターはそれらアンプやキャビネット、そしてマイクの特性をシミュレートすることで、エレキギターらしい音を再現しています。DYNAX IR の キャビネットIR はそれらのギターの要素の中で、スピーカーとマイクを最高の品質で再現するIRデーターです。
レコーディングにおいてのキャビネットIRの活用
ギターの音をレコーディングするには、ギターアンプをキャビネットに接続、マイクを使って録音するのが一般的でした。しかしながらProToolsを筆頭にDAWソフトウェアと、オーディオインターフェイス。そしてコンピューターの処理能力の向上によりと、レコーディングスタジオを借りてレコーディングするのではなく、ミュージシャンの自宅スタジオで作品を録音するのが一般的となりました。プライベートスタジオの規模も様々ありますが、ブースサイズや防音・吸音の面では本格的なレコーディングスタジオには及びません。特にバンドアンサンブルの中ではエレキギターはドラムと肩を並べる爆音で鳴らすこともあるため、おいそれと自宅で録音できるものでもありません。
そこで登場するのが、FRACTAL AUDIO SYSTEMS FM3や、コンピューター上で動作するアンプシミュレーターです。アンプシミュレーターではギターアンプのプリアンプとパワーアンプをシミュレートしており、リアルなチューブアンプのサウンドを再現しています。そのアンプシミュレーターにスピーカーの空気感や音圧を加えるのが キャビネットIR です。市販のギタープロセッサーには標準で キャビネットIR がインストールされていますが、DYNAX IRのバリエーション豊富な キャビネットIR は、ギタリスト好みのサウンドを手に入れることができます。
またチューブアンプユーザーはSuhr REACTIVE LOAD IRや、Fryette Power Load IRのようなリアクティブロードを使用することで、チューブアンプをキャビネットシミュレーションした音を直接録音することができます。ギタープロセッサー同様に キャビネットIR は好みのものを追加でインストールできますので クリーンとオーバードライブで違うキャビネットやマイクを変えて録音するなど、贅沢な録音環境を再現します。
また、一度録音されたギターの音を異なるアンプに差し替えるリアンプ(※ReAmpはRADIAL社の製品名に由来)も頻繁に行われています。アンプの差し替えはチューブアンプや、アンプシミュレーターで行うことができますが、ここでもやはり キャビネットIR は必要です。DYNAX IRはDAWのプラグインとして使用する、コンボリュージョンリバーブやIRローダーと言われるプラグインでも使用することができます。特にRedWirez社のMixIR3は、複数の キャビネットIR を読み込み、音量やPANなどのバランスを整えることができる キャビネットIR に特化したプラグインです。
ステージにおいての キャビネットIR の活用
プロのライブステージの環境も大きく変わりました。これまでのライブステージでは、様々な楽器が大音量で鳴っており無数のマイクロフォンを設置し、PAシステムの巨大なスピーカーで鳴らしてしてきました。無数のマイクと大音量という状況は「ハウリング」に悩まされます。そのハウリングを回避するためのEQやセッティングはエンジニアの腕の見せ所です。しかし近年では、マイクを使わずライン信号を直接PAに送るのが一般的となってきました。ステージ上でマイクが必要となるのは、ボーカルとドラムや弦・管楽器と最小限となりハウリング問題も少なくなりました。また、ミュージシャンの演奏を支えるモニターも、足元にスピーカーを置く(通称:ころがし)から、イヤフォンによる(通称:イヤモニ)が主流となります。ギターリストは背後にあるギターアンプの音を聞いて演奏してきましたが、キャビネットを鳴らしていない状況ではイヤモニは必須です。機材の発展、そして時代の移り変わりによってライブステージは大きな変革を迎えています。
PAシステムのハウススピーカーはギターアンプのキャビネットとは大きく特性が異なるため、キャビネットシミュレーションは必須です。ギタリストの機材は様々ありますが、ギタープロセッサーを使用する場合はラインアウトが備えられていますのでPAへ信号を送ることができます。ギターアンプを使用する場合は、キャビネットの代わりに先述のリアクティブロードを用いることでキャビネットシミュレートされた信号を送ることができます。DYNAX IRでは、PAでマイキングに使用する定番マイクの キャビネットIR も用意していますのでライブステージの特性にあったサウンドを提供します。
自宅練習においてのキャビネットIRの活用
以前は自宅でギターを練習するために、数Wの小型ギターアンプを用意していました。それでも夜間の練習となると家族や近隣の住人に迷惑をかけてしまうので、アンプを通さずギターの生音だけで練習というのは誰しも経験があることと思います。近年ではマルチエフェクターや、ギタープロセッサーにヘッドフォン端子が備えられており、ヘッドフォンがあれば夜間であってもギターアンプを鳴らしているような音で練習することになりました。
ヘッドフォンでギターを鳴らす場合、ヘッドフォンではキャビネットのような特性を得ることはできません。ここでもやはり キャビネットIR によるスピーカーシミュレーションが必要となります。ギタープロセッサーやマルチエフェクターに標準で搭載されている キャビネットIR に不満な方はDYNAX IRをお試し下さい。DYNAX IRの特徴でもあるレスポンスの良いサウンドは、ギターを練習する上でもとても役に立つと思います!
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