VELVET COMP VLC-1 を modしてみた DYNAX mod | DYNAX&THEONE OUTLINE
VELVET COMP VLC-1 を modしてみた
VELVET COMP といえば、ギターコンプに明るいユーザーさんなら、ほぼ100%の人が知っている製品だと思います。VELVET COMPは、アマチュアはもちろん、多くのプロギタリストが支持し現在でもその足元やギターシステムの中に組み込まれています。プロギタリスト今剛氏が利用していことでも有名です。
私自身も VELVET COMP の主張しすぎない音には鳴れ親しんでおり、様々なシーンで利用させて頂いております。
そんな Providence の VELVET COMP ですが、日頃から気になっていることがあり 思い切って mod をしてみました。
modと言っても基本的な回路は変更せず、サウンドの帯域を決めているコンデンサー類を変更しサウンドチューニングして行くものなります。本コンプの特長は「シルクのようにスムースなサウンド」ということなのですが、個人的にその「スムースさ」が耳についてしまい、コンプを設置した後のエフェクターの tone や EQなどで調整する場面が多くありました。
確かに、キャッチフレーズの通り「シルクのようにスムースなサウンド」ではあるのですが、自分的には音が丸すぎてしまうのと、極端にエフェクト感が出てしまうことに違和感がありました。
DYNAXのInstagram でも掲載したのですが、コンプ自体は比較的 初段に繋ぐことが多いと思います。言い換えると「この部分」で「それ以降の全ての音」が決定します。
このコンプの特長でもある ”スムースなサウンド = ベクトル的には丸めの音” は、後段のオーバードライブ、ディストーションやEQで、その「丸くなった」音を取り除くことは凄く難しい作業になってしまいます。レコーディングの話と似てますが、リバーブを掛けてRECした場合、後から取り除くことが出来ないですよね?(極端な表現で恐縮です)
それと同じ感覚を持ってしまいます。
この話ですが、VELVET COMP の音が良くない という話でありません。本機自体は実績のある製品ですし、ナチュラルなコンプ感はシングルPUでもハムでも馴染みが良く様々な音楽のギターサウンドに利用できることは間違いありません。
ただ、個人的に「弦鳴り感」が少ない、、、という好みの問題で本稿を書いている次第です。
少々マニアックな話になりますが、本機の「丸さ」に一番影響を及ぼしているのが、内部回路に採用されている フィルムコンデンサー(上記の半透明の黄色いパーツ)なんです。フィルムコンデンサー(以下、フィルコン)はコンプ以外でも様々なエフェクターに利用されているスタンダードなパーツとなり、メーカー、銘柄も実に様々なものがあります。音の傾向としては、やはり「丸め」なんです。表現として”丸め”が正解かどうかは判りませんが 、別の表現として「一定のレンジ内に収まる傾向があるので耳馴染みが良い」という捉え方でも良いかもしれません。
入力信号に対して 一定の帯域内で信号を増幅させるような性質の回路には非常に相性の良いパーツです。
今回のmodでは、このスムースなサウンドの特色を生み出すフィルコンを、DYNAXが好んで利用 + Stock しているコンデンサーに変更していきます。
本機に実装されているコンデンサーの数こそ少ないですので、交換作業自体は然程苦労はしませんが、チューニング自体は結構なパターンの組み合わせでのチェックが必要となります。
VELVETの場合、基本構成は103 (0.01uf)となり他は102と473、メインのタンタルコンデンサとなります。
他コンデンサもありますが、純正の方が良い結果が出ましたので、そのままを利用。ICについても同じ結果となり純正を利用致しました。
コンデンサのチューニングは、同じ値のコンデンサ(例えば 103 = 0.01uf) でも、メーカーや耐圧、年代によって「別のエフェクター?」という位 音やレンジ感が変わります。
「この値と、この位置のコンデンサ」を何のコンデンサにするか?その結果、他のコンデンサにどのコンデンサを当てるか?
ということを繰り返し、最終的なチューニングが決まってきます。
また、コンデンサのメーカー自体が持つ「性質」によって音の速さも異なります。この場合の「音の速さ」は、信号が通過する速度ではなく、聴感上 脳が認識順序(高い音ほど速いと認識する)のことを指し、レンジ感も”明るく抜けの良いもの、太くこもりがちなもの、ギラギラ感が強すぎるもの” 等 1つ1つ異なります。また、耐電圧数値によって 下側(Low側)のレンジも変わります。我々が保有するコンデンサの中でも、これらの特長を把握している上で、最終的にアウトプットするサウンドの方向性を決めて行きます。
DYNAXで保有しているコンデンサは、現用やサープラス品のスルーホール用だけでも何百種類もあります。昨今の開発や生産においては、表面実装用の抵抗やコンデンサの音色チェックをする必要もある為、もの凄い数の米粒大のパーツと試験環境が構築されています(汗
今回のmodは、抵抗も手を付けようと思ったんですが、組み込んだコンデンサの音の傾向と、既存の抵抗の音の相性が良かったので、抵抗についても純正を利用しています。VELVETは、カーボン皮膜抵抗と金属皮膜抵抗の両方を それぞれのカップリングコンデンサ用として設置されていますが、純正の物は非常にバランスの良い値になっています。
mod というと内部回路の変更や増設、今回のようなコンデンサのチューニングなどに目が行きがちですが、非常に重要な要素として、INPUTとOUTPUTの配線の「品質と線径・接続方法」があります。VELVETの場合は、以下のようにコネクターを利用した接続方式になっています。修理時に分解が楽であることは生産者側として理解できますし、この方式の「音」が利用するユーザーと相性が合えば特に問題もないと思います。ただ私的には、やはり直結で行きたい所ではあります。
ギター本体も同じですが、音の入口と出口の結線方法や配線材を変更すると、音のレンジ感とスピード感がまるっきり変わります。
弦楽器を演る者として、この部分だけは抵抗になってしまう要素というのは極力取り除いてしまいたい というのが本音です。ただ、先のメンテ性や9V電池交換時、不意に配線のハンダが外れてしまうリスクなどを考慮すると、コネクター方式の方が良い結果を生むということも理解していますが、難しい選択部分ですね。。
今回modした VELVET COMP の比較動画を公開しました
まずは聴いてみてもらうのが一番早いかと思い、簡単な比較動画を作ってみました。
動画の中でも解説していますが、ギターからオーディオインターフェースにダイレクトに生音を送り、リズムトラックに合わせてDAWにRECします(レコーディング時の返しの音にDAW側で簡単なギタープラグインを掛けてモニタリングしています)RECした生音をオーディオインターフェースの指定したchから出力しREAMPでインピーダンスを合わせてから ↓↓↓
VELVET COMP (modとNormalを交互にREC)
↓↓↓
MESA Boogieのアンプヘッド(クリーンセッティング)
↓↓↓
Fryette PS2でリアクティブロード(LINE出力)
↓↓↓
オーディオインターフェース
↓↓↓
DYNAX IR でキャビネットシミュレート
↓↓↓
VELVET Compが掛かった音をREC
という方式で録っています。
録り音に色を着けたくありませんでしたので動画でお聴き頂ける 2mixには、EQやTotal Compも掛けずに2mixをバウンスしています。
もちろん基の生音やREAMP後の録り音にも一切 EDITしてはおりません。
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