MesaBoogieの歴史と名機をギター専門店が解説
全てのハイゲインアンプの礎とされる MesaBoogie
ハイゲインアンプの原点として語られるMesaBoogieは、小型アンプの改造から生まれた革新のブランドです。この記事ではその歴史と代表モデルをたどります。
要点まとめ
- 創業者ランドール・スミスはFenderの修理経験から改造プリンストンを製作
- 1972年のMarkⅠで3ヴォリューム仕様とハイゲインを実現
- マスターヴォリューム、マルチチャンネル、FXループなど現代の標準機能を開発
- レクチファイアシリーズが現代ハイゲインサウンドの象徴
アメリカを代表するアンプブランドの立ち位置
MesaBoogie はアメリカを代表するアンプブランドであり、ギタリストを中心としてFender、Marshallなどと共に確固たるブランドとして認知されています。
現在ではレクチファイアーシリーズなどのハイゲインアンプとしてのイメージ強く持たれ、H/M、スラッシュメタルなどのヘビーロックサウンドの代表的なアンプブランドとして多くのギタリストから支持を集めますが・・・創業から80年代中頃まではコンボタイプを中心に製造が行われ、フュージョン系を中心にロック全般のギタリストに愛用されており、ヘビーロック系アンプのイメージではありませんでした。創業期の70年代~80年代までにチューブアンプとして初のマスターヴォリューム機能、マルチチャンネル、FXループなど革新的な開発が行われ、チューブアンプの新たな方向性を牽引してきました。

(https://en.audiofanzine.com/tube-guitar-amp-head/mesa-boogie/triple-rectifier-solo-head/medias/pictures/#id:497228)画像先
今日の標準機能を生んだ発想
現代では一般的に採用されているこれらのシステムは MesaBoogie による発想であり、以降全てのアンプブランドに一石を投じたと言えます。
常にミュージシャンの要求するサウンドに寄り添い、新たな機能を持つアンプが生み出し、そしてプレイヤーはそれらのギアによって新たなサウンド、ジャンルと好循環を築き上げ、今日まで新たな音楽の誕生に寄与してきた歴史でもあります。
MesaBoogie は70年代当時、ロック、ポップの中心地であったアメリカ西海岸サンフランシスコで創業以来、現在まで製造が継続されており、コストダウンを目的とする海外でのライセンス生産などは行っておらず、自社製品に対するスピリットの表れと言えます。
ハンマーテストに表れる耐久性への理念
また、創業者ランドール・スミスは MesaBoogie ブランド創業以前Fenderアンプなどの修理、レストアを手掛けていた経験から、自身のブランド製品に高い耐久クオリテイを求めアンプヘッド、キャビネットは設計されており、『ハンマーテスト』などはその理念に基づいての証左で、ツアーでのトランポが多いギタリストから絶大な支持を集めます。今回はアメリカンチューブアンプ MesaBoogie について考察していきたいと思います。
MesaBoogie 創始者ランドール・スミス
Mesa Boogie の創始者であり、アンプ設計者であるランドール・スミスは1940年代にカリフォルニア州サンフランシスコ近郊で生まれます。クラリネット奏者であった父の影響もあり、常に音楽に触れる環境で幼少期を過ごし、少年時代には当時、最先端であった真空管オーディオに興味を持ち、近所のショップで知識を深めて電子機器などの修理を行い始め、音楽仲間の機材メンテナンスを手掛けるようになります。
音楽仲間からランドールの機材修理に関する腕前は評判になり、1960年代後半にアンプ修理メンテナンスを行うショップを設立します。日々、修理を中心とした業務の中で最も手掛けたのは自国アメリカ製のFenderアンプであった事は言うまでもありません。特に練習用アンプとして人気の高かった小出力なプリンストンなどは修理依頼が多いアンプであり、耐久性などについての造詣を深めることにもなりました。
小型アンプを大音量化した改造プリンストン
そんな中で「小型アンプから大音量出すには・・・?」との興味を抱き、Fenderプリンストンアンプにモディファイを施し始めます。Tweed期BassManを参考に6L6×2で構成するサーキットに12インチスピーカーを組み合わせて大音量化を実現し、従来のヴォリュームでゲインをコントロールしマスターヴォリュームを増設して音量調整を可能にする画期的な改造アンプでした。
今日では一般的なゲインヴォリュームでドライブサウンドを獲得してマスターで音量をコントロールする発想は、新たなチューブアンプの方向性を示した礎と言え、ランドールによる新時代サウンドの幕開けでした。
当時、米国でのロック/ポップの最先端はサンフランシスコベイエリアにあり、多くのミュージシャン達によって新たなサウンドが生み出され、ギターサウンドもリードパートを中心としたプレイスタイルへと変貌していく中でサスティーン豊かなドライブサウンドが要望される背景もランドールの発想に刺激を与えたのでしょう。
カルロスサンタナが名付けたBoogie
この改造プリンストンアンプを試奏した若き日のカルロスサンタナは「Shit man, That little things really Boogie! 」と驚きを持って表現され、後の自身のブランドアンプにBoogieの名を冠することになります。
改造プリンストンは評判を呼び200台ほど手掛けた後に、自身のアンプブランド Mesa Boogie の開発、製造に踏み出しことになります。

(https://legacy.mesaboogie.com/about/randalls-story.html)画像先
チューブアンプ新時代の幕開け Mesa Boogie
後にMarkⅠと呼ばれることになる最初のモデルは1972年にリリースされます。改造プリンストンを手掛けていた中で蓄積した発想を反映して、ゲインステージを更に増やすことで3ヴォリューム仕様を開発し、クリーンサウンドからヘヴィーなハイゲインサウンドを実現します。ジャンルを超えて多くのギタリストから絶賛され、特にそのハードドライブサウンドは、それまでのFenderやMarshallなどのドライブサウンドとは異なった、新たなチューブアンプサウンドとして一石を投じることになり Mesa Boogie は正に時代の寵児と言える存在でした。
ハードロック、フュージョンなどでギターがリード楽器として存在が大きくなっていく時代背景とも相まってサスティーン豊かなドライブサウンドを望むギタリスト達の要望にマッチしたと言えます。

(https://www.digimart.net/cat12/shop5214/DS08735423/)画像先
MarkⅡ~MarkⅢの進化とサイマルクラス
その後、MarkⅡ~MarkⅢと80年代までアップデートが繰り返されてマルチチャンネル、サイマルクラスなどを搭載するしモデルチェンジが行われていきます。特にサイマルクラスは当時のユーザーにクラスA動作などのアンプに対する知識が一般的でない時代に、クラスA動作とクラスAB動作をミックスし、両者のメリットを共存さることで艶やかでコンプレッション感のあるクリーンとサスティーン豊かなドライブサウンド両方を可能にした画期的なスペックでした。
(著者も当時恥ずかしながら回路的にどのようなことなのかは、いまいち理解できなかったと記憶しています)センドリターンループなどもMarkシリーズの時代に開発され、現在では一般的になっている多くの機能は この時代の MesaBoogie アンプによって誕生しています。
また、改造プリンストンを手掛けていた時代から、常にネガティブ要素として問題視していたのが耐久性であり、振動を抑制するシャーシのショックマウント方法やキャビネットの構造なども研究されており、信頼を獲得した重要なファクターでした。
4×12スラントキャビネットの誕生
MarkⅢ時代には、それまでコンボタイプであったラインナップにセパレートタイプが加わり、スピーカーキャビネットも開発されます。セパレートキャビネットの代表的なMarshallなどのイギリス系ブランドが採用している4×12を MesaBoogie でも採用しますが、屈強な厳選されたマリングレードのバルティックバーチ材による構造のエンクロージャーはスラントデザインを採用しながらもバック側はハーフオープンにデザインされ、上側2発は伝統的なアメリカンサウンドの鳴りである煌びやかなでエアー感を作り出し、下側はクローズドバックの持つ低域サウンド特性と MesaBoogie 独自のエンクロージャー構造も相まって重厚感のある圧倒的な低域を持ち合わせます。
これによりイギリス系ブランドの4×12キャビネットとは一味違ったサウンドキャラクターが生み出され、スピーカーキャビネット単体でも MesaBoogie のオリジナルサウンドと言えるキャラクターが生まれ、ギタリスト達からは高く評価され、ヘッドアンプは他社のアンプであっても MesaBoogie EX412をチョイスされる程、賞賛されるサウンドです。

(https://www.vintageguitarsandamps.us/product/mesa-boogie-4×12-speakers-1/)画像先
象徴的な存在レクチファイアシリーズ
Markシリーズの発展の中で登場したのが現代の MesaBoogie サウンドの象徴とされるハイゲインドライブサウンドを持つレクチファイアシリーズでしょう。時代の変化と共にハードディストーションサウンドの欲求に応える形で登場したこのモデルは、Markシリーズ時代の機能を更に発展させて究極のマルチチャンネルを備えたチューブアンプであり、また整流回路に真空管清流とダイオード整流の両機能を備えたことでクリーン、ドライブサウンド共に、きめ細かいサウンドメイクが可能です。
ハイゲイン専用キャビネットRectifier 412
H,Mなどハードディストーションサウンド特化したアンプのイメージが強く持たれていますが、クリーン、クランチ程度の歪にも繊細なアジャスト機能が有り、全てのジャンルに対応可能な究極のチューブアンプと言えます。このレクチファイアシリーズには、そのハイゲインサウンドキャラクターに特化したスピーカーキャビネットがラインナップされました。
通常の4×12スピーカーキャビネットより、若干大きめのサイズでデザインされたクローズドバックのエンクロージャーは圧倒的なヘッドルームを持ち、レクチファイアが持つ重厚な中低域のハイゲインサウンドを受け止める専用スピーカーキャビネットと言えます。特にRectifier 412 Armoredはヘッドアンプ同様な屈強な鉄板でキャビネット側面が覆われ、更にタイトな中低域と抜けの良い高音域の拡声能力が加味されハイゲインドライブサウンドに於いては他の追随を許さない圧倒的なサウンド誇ります。

(https://www.guitartraders.com/11591)画像先
まとめ
近代ハイゲインサウンドの元祖とされるMesaBoogie はクラシックアンプであるFender、Marshallなどの伝統的な回路、工法を継承しつつ、時代と共に発展してきた音楽形態に応えて、新たな革新的な機能を開発し、以降のチューブアンプによるギターサウンドの方向性を示した革命的なアンプブランドと言えるのです。
MesaBoogieに関するよくある質問(Q&A)
Q. 創業者は誰ですか?
A. ランドール・スミスです。Fenderアンプの修理やレストアを手掛けた経験から、耐久性の高い設計を重視しています。
Q. Boogieという名前の由来は?
A. 改造プリンストンを試奏した若き日のカルロスサンタナが「That little thing really Boogies!」と驚いたことに由来します。
Q. 最初のモデルはいつ登場しましたか?
A. 1972年にMarkⅠがリリースされました。ゲインステージを増やした3ヴォリューム仕様が特徴です。
Q. サイマルクラスとは何ですか?
A. クラスA動作とクラスAB動作をミックスし、艶のあるクリーンとサスティーン豊かなドライブを両立する方式です。
Q. レクチファイアシリーズの特徴は?
A. 究極のマルチチャンネルと、真空管整流とダイオード整流の両機能を備え、繊細なサウンドメイクが可能です。
Q. 生産は海外で行われていますか?
A. 創業以来サンフランシスコ近郊で製造が続けられ、海外でのライセンス生産は行っていません。
Q. ハイゲイン専用のキャビネットはありますか?
A. Rectifier 412 Armoredなど、レクチファイア専用のクローズドバックキャビネットがラインナップされています。
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人物の背景はWikipedia(カルロス・サンタナ)もご参照ください。
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