ハイゲインアンプ の頂点 Bogner Ecstasy3534 徹底解説
Bogner Ecstasy3534
ハイゲインアンプ ヘッド
ハイゲインアンプ Bogner Ecstasy3534 は、ハイエンドギターアンプブランドで知られるBognerから発売され2年を経った今も人気で品薄が続。Bogner Ecstasy の30年というロングセラーを誇り、フラッグシップモデルであるEcstasy101Bを超えるヒット作となる予感がします。今回はEcstasy 3534について徹底解説します。
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Bognerアンプとは?
現在において、ハイエンドギターアンプブランドの一つとしてとして知られるBognerアンプは、ドイツ人であるRainhold Bogner氏が自身が改造を行ったMarshallを持って、ドイツからアメリカに渡り、その後1987年に自身のブランドであるBognerを立ち上げました。ブランド設立後の1992年に発売したアンプがEcstasy100というアンプでした。LAを基点とするハードロックやメタル系のミュージシャンを中心に愛用され、Bognerの名は世界中のギタリストに知れ渡る存在となります。
Ecstasyは3ch構成のギターアンプとして世界で最も早く完成させたアンプと言えます。美しいクリーントーン、バッキングやリフに最適なクランチ・オーバードライブサウンド。濃密で歌い上げるようなリードオーバードライブの完全独立した3CHを備え、さらに100Wという安定したパワーアンプの組み合わせにより、Ecstasyが1台あればどんな音楽スタイルであっても対応可能なギターアンプです。EcstasyはBognerのフラッグシップモデルとしてモデルチェンジを行いながらも生産され、発売から30年目である2022年においてもギタリストにとって憧れの存在のアンプとなっています。Ecstasy以外にも、ShivaやUberschallなどのチューブアンプをリリースしました。Bognerはキャビネットもまた優れていることで知られ、12インチ1発を搭載する112Cubeは日本では「豆キャビ」として知られています。
Bognerの新たなる ハイゲインアンプ Ecstasy 3534
2020年に発売されたEcstasy 3534は、BognerのフラッグシップモデルであるEcstasyのサウンドと機能をそのまま凝縮し、現在人気の小型ヘッドシェルに収めたモデルです。Ecstasy101B譲りの3CHプリアンプは、Green CH(クリーン)、Blue CH(オーバードライブ)、Red CH(リード)とチャンネルLEDが色分けされています。カラーでイメージをつけた各CHを元に、BlueやRedのカラーを持つペダルがEcstasyペダルとしてリリースされて人気となっているのでご存じの方も多いはずです。特にBlue CHは初代Ecstasy100から定評のあるチャンネルで、ゲイン設定やギターのVOLノブで多彩な音作りができることで知られています。CH2/3には専用のBoost回路を搭載しており、バッキングとソロのメリハリをつけることができます。3534のサウンドをアウトプットするパワーアンプにはEL-34パワーチューブを2本搭載する45Wの出力となっています。
Ecstasy101Bと3534の寸法・重量比較
Ecstasyのサイズの比較ですが、
Ecstasy 101Bが241mm(H) x 692mm(W) x 260mm(D)
Ecstasy 3534が240mm(H) x 490mm(W) x 210mm(D)
となり、横幅がサイズ比で約70%に小型化されています。3534は小型とはいえオールチューブで4発キャビネットも悠々と鳴らすパワーもありますので奥行きや高さはそこまで小型化されていません。続いて真空管のギターアンプというと重い!と思われがちな重量ですが、
Ecstasy101Bが21kg
Ecstasy3534が13.6kg
こちらは7.4kg軽量となっています。40-50Wクラスのギターアンプヘッドは18-20kg位のアンプが平均的ですのでかなり軽量と言えます。
フロントパネルの説明
Ecstasy 3534のフロントパネルですが、101Bとほぼ同じレイアウトになっています。ですのでEcstasy 101Bを使ったことがあるプレイヤーであれば悩まずに使うことができると思います。変更点としては、101Bに搭載されているPlexiモードとStractureが省略されている点です。以下CH毎に詳しく解説します。
Channel 1
フロントパネル左側にあるCH1のコントロールは下記の通りとなっています。
-VOL1:CH 1のVOLです。エフェクトセンドからの出力レベルも変化します。
-TREBLE:CH 1の高音域を調整します。
-MIDDLE:CH 1の中音域を調整します。
-BASS:CH 1の低音域を調整します。
-GAIN1:CH 1のゲインです。下げた状態だとクリーンで上げていくと少し歪みます。
-PreEQ1:ブライトスイッチで、B1はやや明るいトーンに。B2はよりブライトになります。Nのポジションはブライトオフになります。
※PreEQスイッチはゲインがフルの場合は効果がありません。
Channel 2/3
フロントパネル右側にあるCH 2/3のコントロールは下記の通りとなっています。CH 2/3は101B同様にEQのみ兼用となっていますが、ゲインとVOLはそれぞれ独立した構成です。バッキングとソロの音量差もしっかりとセッティングすることができます。
-VOL3:CH 3のVOLです。エフェクトセンドからの出力レベルも変化します。
-VOL2:CH 2のVOLです。エフェクトセンドからの出力レベルも変化します。
-TREBLE:CH 2/3の高音域を調整します。
-MIDDLE:CH 2/3の中音域を調整します。
-BASS:CH 2/3の低音域を調整します。
-GAIN3:CH 3のゲインです。バッキングに最適な歪みから、ロングサスティーンの深い歪みが得られます。
-GAIN2:CH 2のゲインです。ブルーチャンネルらしい、クランチからドライブへの表現力豊なオーバードライブです。
-PreEQ3:ブライトスイッチで、B1はやや明るいトーンに。B2はよりブライトになります。Nのポジションはブライトオフになります。
-PreEQ2:ブライトスイッチで、B1はやや明るいトーンに。B2はよりブライトになります。Nのポジションはブライトオフになります。
※PreEQスイッチはゲインがフルの場合は効果がありません。
CHスイッチ
Ecstasy3534のCHを切り替えるボタンスイッチです。1ボタンですので押す毎にCH1→CH2→CH3とロータリー方式でCHが変わっていきます。実際のライブステージでは主にフットスイッチを使うかと思いますが、フットスイッチであればCH1→CH3や、CH2→CH1と即時切り替えが可能です。
Boostスイッチ
インプットジャック上部にあるBoostボタンスイッチは、CH 2/3の専用のブーストスイッチです。これもEcstasy101Bから継承された機能でCH 2/3それぞれ少し低いかな?というゲインに設定し、ソロでのゲインアップなどに使えます。Boostのオンオフはフットスイッチでもコントロールできますので表現をより広げることができます。
マスターPresence
その他のギターアンプでも、ほぼ付いている超高音域を調節するPresenceです。Presenceはパワーアンプ部のNFB(Negative Feed Back)という音質改善のための回路の一部です。あくまでパワーアンプ部の調節ですのでPresenceを調節してもプリアンプ部の音色には変化がありません。CHのTrebleよりも高い帯域の調節になるので全体的な音色の明るさを変える、というイメージで使うのが良いと思います。
スピーカーのダンピングをコントロールするExcursion
Ecstasy 101B譲りでもありBognerの特徴でもあるパネル左側上部にあるExcursionスイッチは、スピーカーのダンピングを切り替えることができます。スピーカーダンピングというのはパワーアンプに求められる能力で、スピーカーユニットの振動を静止させるブレーキのようなものです。スピーカーユニットのコーン紙は低音の方が大きく振幅します、絶え間なく音が出ているのであれば常に振幅しますが音を止めた場合にスピーカーの振幅をピタッと止める能力はパワーアンプによって左右されます。
ギターで例えるならブリッジミュートをしたバッキングがわかりやすいと思います。ブリッジミュートした状態でピッキングを止めるとミュートしているので「ザクッ」とキレが良いサウンドが得られますが、ダンピングが緩いともたついた低音が残ります。Ecstasy3534はそのダンピングをL:Loose / D:Deep / T:Tightの3段階で調節することができます。実際はキャビネットで音を鳴らしながら好みのポイントをCHのEQと組み合わせながら調節することをお勧めします。
リアパネルの説明
Ecstasy 3534のリアパネルにはスピーカーアウトやエフェクトループなどプリアンプ部のアウトからパワーアンプの機能があります。以下詳しく解説します。
RETURN M.V
RETURN M.Vは、エフェクトループのリターンに入力されたレベルでありシンプルにはマスターヴォリュームです。エフェクトループがオンの時のみ動作します。プリアンプで整えた各チャンネルの最終的な音量になりますので、自宅やリハーサル、ライブなどで必要な音量に調整を行うことができます。
FX Loop
空間系などのエフェクターを接続することができるEffect Loopになります。SENDからはプリアンプの信号が出力され、RETURNはパワーアンプ部のインプットとなります。
ASSIGN FX
Ecstasy3534で初めて搭載された機能です。ASSIGN FXでCH2&3をオンにした場合、CH2/3が選ばれているとエフェクトループが自動でオンになる機能です、その場合CH1はエフェクトループがオフです。この機能をどう使う?と悩む方も多いと思いますが、アンプで歪みを作る場合、アンプの前に接続するコンパクトエフェクターでディレイをかけてもアンプの入力信号にディレイがかかるため濁ったサウンドとなってしまいます。ところがアンプがクリーンであれば、アンプの前でディレイやリバーブをかけてもそのまま増幅してくれるために音が濁ることはありません。Fenderのコンボアンプでエフェクターで音作りをするようなイメージがわかりやすいかと思います。ASSIGN FXは現在のエフェクターペダルの進化を加味した新しい考えのエフェクトループシステムと言えます。また、ASSIGN FXを「0」にすれば全てのCHがFX Loopに流れますので通常のエフェクトループとしてお使いいただけます。
FT SW. A/B
3534のCHとBOOSTをフットスイッチでコントロールする端子です。付属する純正フットスイッチをそれぞれ挿せばフットスイッチからチャンネルを切り替えることができるほか、A/BはそれぞれTRS端子(Tip-Ring-Sleeve)となっていますのでラッチ出力が可能なコントローラー(RJM AmpGizmoなど)を接続すればMIDI経由で3534のコントロールもできます。
LINE OUT
エフェクトループを使用せずに、Slave機材へ信号を送るLINE OUTです。ギターシステムの拡張に合わせて使用することができます。
SPEAKER OUT
4/8/16オームに対応するスピーカーアウトです。使用するキャビネットのインピーダンスに適合するアウトプットを使用します。101Bの様にインピーダンスセレクターを使用しないためインピーダンスの切り替えを行うことなく、ケーブルを差し替えるだけで使用することができます。
ハイゲインアンプ Ecstasy 3534まとめ
ここまでご紹介してきたEcstasy 3534ですが、昨今様々なギターアンプブランドも手がける小型アンプとは一線を画した本格的なアンプに仕上がっています。Ecstacy伝統のサウンドと、近年のステージ事情に適切かつ十分なパワーを持つアウトプットパワーを絶妙なバランスで保ち、自宅・リハーサル・ライブ・レコーディングと幅広い用途でおすすめできる逸品です!
デジタルのアンプシミュレーターやマルチエフェクターも便利で良いですが、ギターを始めてからずっとアンプシミュレーターを使ってきた若い世代のギタリストが、真空管ギターアンプを弾いてそのサウンドに感動することも。また、長年ギターを弾いてきたベテランのギタリストもシミュレーターから今一度原点になる真空管アンプに回帰するプレイヤーも増えています。これを機に最高峰の極上サウンドを手に入れてみるのはいかがでしょうか。
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