ギター電装系パーツ : ジャック、ポットなどのチェック | THEONE | ハイエンド エフェクターなどの解説
ギター電装系パーツ は常日頃の確認が不可欠
ある日突然 音が出ない等のトラブルの殆どが ギター電装系パーツ の不具合があります。ネック廻りのメンテ同様に、エレキギター、ベースの ギターメンテナンス では、電装系の確認を常にすることは必須であると言えます。ピックアップを介して弦振動を電気信号へ変換する事でアンプへ送り、音量を確保するエレキギター、ベースでは、電装系パーツの不調は致命的であり、ライブ直前のトラブル発生などは可能な限り避けたいですね。
今回は多くの直面するポットの接触不良やジャックのガリやノイズ発生に関して原因や対策についての話です。
金属パーツで最も消耗が激しいジャック
演奏中に突然、音が出なくなったり、「バリバリ」や「ガリガリ」などアンプからノイズが発生するトラブルは、ギター本体のジャックやポット、シールドケーブルのプラグ部分などの接触不良が起因する場合が殆どです。中でもジャック部は、演奏時には毎回ジャックとシールドプラグの抜き差しを行う為、摩耗、腐食または汚れの堆積により接触不良を起きます。
ジャックの構造と発生原因
また、アンプ、スピーカーへの負担も懸念され、早急に対処がひつようです。
ジャックの構造は、薄くニッケルメッキ処理された金属であり、ジャックとシールドプラグとの接点は、抜き差しを繰り返すことによってコーティングされているニッケルメッキが剝離しまいます。接点部のメッキがはがれ素材部分が露出し、酸化が発生して接触不良が発生します。
もう一つの多く散見される症例としては、サーキットからジャックへの配線部品が断線していることがあります。この原因の多くは、ジャックを固定している六角ナットが緩んでおり、シールドプラグの抜き差しを繰り返すことによって、ジャック自体が回転してしまい結線部にストレスがかかることで断線を招きます。
ジャックの形状にも様々あり、ストラト、レスポール、テレなど多くのモデルで使われているのがSwitchcraft製#11です。ほとんどのジャックは、シールドプラグのチップが接触するジャック側のホット部が、板バネ式構造になりますが、中でもSwitchcraft製#11は、この板バネ部分の長さ、厚みが有り耐久性が確保されており、定番的なジャックでしょう。
現在では、日本製のギター、ベースでもSwitchcraft社製を使用してモデルも多く有りますが、90年代初期頃までは、板バネ部分の耐久性が低い安価なブランドのジャックを搭載した機種も多くありました。
基本的にアメリカ製のエレキギター、ベースには、殆どSwitchcraft製#11タイプが1940年代前後から搭載されていますが、コントロールキャビティ内のクリアランスの問題で同タイプのジャックが使えず、Carter社やSwitchcraft社のストレートタイプなどを搭載したモデルも多く有ります。
しかし、残念ながら構造的に制約があるサイズですので、板バネ部分の復元力が弱く耐久性は、劣ります。(実際、60年代のSG、Firebirdなどには、Carter社製のコンパクトなタイプが使われました)
このような要因での抜本的な解決方法は、酸化、摩耗の状況にもよりますが、交換すること推奨します。(一般的に多く使われている汎用的なSwitchcraft製の物であれば、ソリッドギターなどでの交換は、さほど高価ではありません)
しかし、ライブ前に突然、今回のようなトラブル見舞われた場合には、交換での対応が難しいことが殆どだと思います。ジャックの酸化、摩耗状態が軽度であれば、接点復活剤等と綿棒などを使い錆など除去する事で対応可能な場合もあります。(あくまでも、応急処置です。)
また、このジャックとシールドプラグの接触に関しては、微妙なサイズ、形状の違いが要因で接点不良起こす場合もあり、理想はジャック、シールドプラグ共に同ブランドのパーツがベストなのかもしれませんね。以前は、国産のシールドプラグは、ミリ、インチの問題などもあり、マッチングが悪いことがありましたが、現在では各社それぞれ形状、サイズの研究がなされており改善傾向にあります。
ボリューム、トーンコントロールに発生するガリノイズ
まずは、ボリューム、トーンなどをコントロール操作するために使われるポット(Pot)の基本的な構造、働きを理解しましょう。
エレキギター、ベースに使われるポットは、基本的にロータリ式単回転型の可変抵抗器の一種です。
(ポットは(potentiometer)の略で、本来の意味は『分圧器』という事になるようです。ちなみに、英語でも『Pot』と一般的に使われます)
構造は3つの端子のうち両脇の2つは炭素被膜等で作られた抵抗で結ばれており、この2点間の抵抗値がよく使われる250KΩ、500KΩなどのポットの持つ抵抗値になります。
真ん中の端子は、ケース中で回転する可動端子と繋がっており、端子先端は炭素被膜抵抗の上に接したまま回転して抵抗を可変させ、電流の流れる量や電圧を変化させる構造です。
この特性を利用して、ボリューム、トーンなどのコントロールを可能にしています。
なぜ、ガリやノイズは発生?
ポットの回転端子部分は、通常カバーで覆われていますが、完全に密閉されているわけではないためにチリや埃が入り込み、接触不良を起こしてガリやノイズの発生を起こします。
解消するために、この塵や埃を除去することになるのですが、安易にスプレータイプの接点復活剤を使うことは推奨しかねます。
一時的な解消法としての効果は有りますが、持続的な効果はあまり期待できない上に、多くの商品では油分を含んでおり、更なる塵や埃の付着を助長することが懸念されます。
ライブ直前等、緊急の時以外は安易に接点復活剤を使うことはお勧めできませんね。
油分を含まないスプレータイプの接点洗浄剤で、塵、埃を洗い流し除去する事が望ましいです。
(著者は、電子部品の洗浄やコンピュータ等の保守サービスを目的する接点洗浄用の製品『Ripe225』を使用していましたが、環境問題でのフロンや温暖化防止など環境問題の規制により、現在は廃番のようです。)
これでも解消が望めない場合や、途中で音が途切れるようなケースでは、過度の使用によって炭素被膜部分の一部分が、削り取られている要因が考えられます。この場合は完全に寿命ですので、直流抵抗値やカーブを確認し、リプレイスメントパーツへの交換になります。
50、60年代のヴィンテージ楽器の場合は、このケースが多く散見され、要交換の必要性が高いのですが、オリジナル度の低下を懸念して交換されない方が多いですね。
持論ですが、高価なヴィンテージ楽器も満足に演奏する事が出来ない状態では、どうなんでしょうかね?
ポットなどは、ケース部分に製造年、ブランド(インダストリアルナンバー)の表記があるので交換したくないのでしょう。難易度が高い技術が必要ですが、ケース部分を外し分解して洗浄する方法や、ケース部分を活かして内部の機能箇所だけをリプレイスメントパーツの一部分を移植するなどのレストア方法もあります。(実際に著者は、オーナー様の意向でこのような方法での対応をしておりました)
ジャック、ポットも弦と同じく消耗品
突然のアクシデントでは、即交換は困難ですので、日々の ギターメンテナンス のルーティンとしてこの辺りもチェックし、不調を感じる場合は交換を視野に入れ、信頼できる技術力に相談しましょう。
ソリッドギターであれば、ジャック、ポット共に交換リペアは高額ではありませんので、惜しまずに交換して、自身のパフォーマンスを最大限に発揮するために要らぬストレスが生じるネガティブ要素は、可能な限り排除してプレイに集中できる環境を整えましょう。
ギター電装系パーツ 以外でも重要なケーブル
ギター内部の電動系に問題が無い場合、シールドケーブルの断線も視野に入れて確認が必要です。音の傾向こそ好みが別れる所ではありますが、まずは、耐久性の高いケーブルを利用することがトラブル防止にも繋がります。
以下のラインナップは当店でも人気のあるケーブル類となりますので、ご覧ください。
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