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ブリティッシュサウンドを象徴する Hiwatt アンプ | THEONE | ハイエンド エフェクターなどの解説

ブリティッシュサウンドを支えた Hiwatt

Hiwatt はピートタウンゼント(The Who)、ジミーペイジ、デヴィッドギルモア等々、多くのギタリスト達に選ばれたアンプであり、60年代後期のロックミュージック黎明期から70年代のブリティッシュミュージックシーンに於いて、他の英国アンプブランド(Marshall、Vox、Orange等々)と共に『ブリティッシュサウンド』を形成したアンプブランドです。
Hiwatt のフラッグシップモデルであるDR103は歴史的な名器とされ、Aspen Pittman の著書「The Tube Amp Book」の中では、Hiwatt DR103 は歴史上、最も偉大なアンプのトップ 10 の 1 つとして挙げられており、現在でも当時の工法、制作理念がDNAとして継承されて本国イギリスで生産されています。

Hiwatt
(https://www.chicagomusicexchange.com/products/hiwatt-dr103-head-w4x12-cabinet-1972-974267)画像先

Hiwatt 創設者David Reeves

Hiwatt創設以前のデヴィッド・リーヴスは、1950年代から電子工学技術者としての知識を専門学校で学び、卒業後『マルコーニ電子』や『ムラード』イギリスの電子機器会社に勤務し、更なる電子工学技術の知識を深めていきます。勤務終業後は自宅で音響機器を自作したり、知人の音響機材の修理などに手掛ける中、自身の会社設立を考えるようになっていきました。そして1966年に自宅ガレージを改造した小さな工房で『ハイライトエレクトロニクス社』を設立します。

その後の1967年にダラス・アービター社からアンプ設計、製造の依頼を受け『サウンドシティー』ブランドのアンプを手掛けることになりました。『サウンドシティー』とは、ダラス・アービター社がロンドン市内に展開していた楽器店の名称であり、サウンドシティーのオリジナルアンプとして新たなアンプ製造でした。このデヴィッド・リーヴスが手掛けたサウンドシティーブランドのアンプは、既にイギリスロックシーンを席巻していたMarshallと同じような100Wで2チャンネルの4インプットでしたが、高価で高性能なトランスとして知られるPartridgeのトランスを搭載し、他のパーツも全てミリタリースペックで構成されヘッドルームの豊かなアンプは、後の Hiwatt DR103原型と言えるアンプでした。

デヴィッド・リーヴスは1968年サウンドシティーブランドのアンプ製造を終え、自社での Hiwatt アンプ製造に専念してサウンドシティー時代のアンプにブラッシュアップを加えて名器『DR103』誕生させます。その後の70年代にHiwatt アンプは、他の英国アンプとは違ったサウンドキャラクターが支持され、多くの著名ギタリストユーザーを生み、彼らのアメリカツアーでも披露されワールドワイドなアンプブランドへ成長しましたが、1981年リーヴスが不慮の事故によって急逝してしまいますが、従業員たちにより新たな新会社『BIACROWN社』が設立されリーブスのアンプ製作理念は継承されて生産されます。しかしながら、1984年に『BIACROWN社』は経営不振よって倒産してしまい、Hiwattアンプの商標などの権利関係が複雑になり、1990年代には日本の『フェルナンデス社』の元で企画生産が行われたりしましたが、現在は Hiwatt UK社によって、それら商標、権利関係は一括されて誕生の地であるイギリスに戻り、 Hiwatt アンプ創設者David Reevesの製作理念を継承して製造を続けられました。

名器DR103とは?

一見するとセパレートタイプのヘッドキャビネットに納めたレイアウト、内部の真空管の構成など、Marshallと同じようなサウンドをイメージしがちでしょうが、全くと言っていいほど異なったサウンドキャラクターを持ちます。ヴォリュームを上げていっても中低域が特徴的なクリーンサウンドで、歪みに関してはフル10近くで多少クランチ的なドライブを感じる程度と言えます。コントロールもMarshallと同じような2チャンネルの4インプットですがDR103はマスターヴォリュームを備えています。しかし現代のようにプリゲインをフルにしてマスターでドライブサウンドの音量をコントロールする為に設けているのではなく、リンクしたインプットの各ヴォリュームと併用してサウンドメイクを目的として設けられたと言えます。
内部はミリタリースペックの各種パーツに最高級グレードのパートリッジトランスフォーマーを採用、丁寧なPoint to Pointによって配線されたサーキットボードは『美しい』と形容したくなるほどです。

これらによって中低域の押しが強いクリーンサウンドが生み出されており、圧倒的なパワーを誇ります。当然このパワーを受け止める4×12スピーカーキャビネットは屈強なエンクロージャーであり、DR103のサウンドキャラクターを見事に受け止めて、更にこのキャビネットの特性も見事に色付けし、拡声されます。

著者は70年以降の Hiwatt を他機種、試奏した経験が有るのですが・・・・同じスタイルのMarshallとは全く違い『爆音で歪まない』が、豊かなヘッドルームを備え優れた倍音を持つクリーンサウンドでコンプレッション感がある中低域が特徴的な印象です。初めて試した時には、レジェンドギタリスト達の名盤サウンドを思い浮かべて「なるほど!」でしたね。

HiwattDR103
(https://www.12fret.com/sold-archive/1975-hiwatt-custom-100-watt-dr103/)画像先
HiwattShassis
(https://hiwatt.org/HiwattStory/pg02.html)画像先

多くの著名ギタリストユーザーを産んだ Hiwatt アンプ

Hiwatt 誕生以来、ジミーペイジ、デイヴギルモアなど多くのレジェンドギタリストが Hiwatt サウンドと共に数々の歴史的な名盤を生み出されました。最もブランドの名声に欠かすことの出来ないギタリストとしてはピートタウンゼントであることに異論はないでしょう。
ピートはリーブスが手掛けたサウンドシティーブランド時代からのユーザーであり、その後 Hiwatt アンプに移行します。
ピートはMarshallを使用していた時代(1960年代中期頃)から常にクリーンで大音量を放つアンプを求めており、David Reevesが手掛けた高性能パーツで構成され豊かなヘッドルームを備え、ハイパワーを誇るHiwatt は、正にピートが追い求めていたサウンドだったのでしょう。

TheWhoの楽曲、及びサウンドは、当時のハードロックバンドとは一線を画しており、彼のギタリストとしての立ち位置も和音楽器としてのギターアンサンブルを重視し、長々としたギターソロなどは無く多彩なコードワークによるプレイが主体で、オーバードライブ成分の少なく、押しの強い中低域のクリーンな大音量のHiwatt サウンドはまさに理想だったと思いますね。
そのギターサウンドはThe Whoの名盤『Live at Leeds』で確認できますので、若い世代のギタリストには是非とも聴いていただき Hiwatt サウンドを感じてもらいたいです。余談ですが・・・ピートタウンゼントのプレイスタイルはギターソロなどを殆ど弾かず、コードワークが中心なのですがそのスキルは驚くほどで、アコースティックギターでのプレイも秀逸です。
興味のある方は是非、1981年のシークレット・ポリスマンズ・コンサートで演奏をお勧めします。

HiwattPete
(https://www.facebook.com/100064304124891/posts/2530844643595450/)画像先

レジェンドギタリストであるジミーペイジはMarshallのイメージが強いですが、レッドツェッペリンが最も盛んに世界ツアーを行っていた1970年前後はメインで使用したアンプはHiwatt です。
1970年ロイヤルアルバートホールでのライブ映像でも確認出来、1971年の初来日公演でも Hiwatt をメインにMarshall1959と併用されたようです。完全なオーバードライブ とは言えないこの当時のペイジサウンドは、Hiwatt の持つ多少のクランチ感を持ちながらも重厚なサウンド特性によるところが大きいのでしょう。

Hiwatt アンプと共にラインナップされた4×12スピーカーキャビネット

エレキギターのサウンドとは、ギター3割、アンプ7割などと言われる程、アンプが持つサウンドキャラクターが反映されると言えるのですが、残念ながらギター本体ばかり着目してしまう傾向が有ります。
優れたエレキギターでもアンプがショボければ、ギターのポテンシャルが発揮されることなく、アウトプットされてしまいます。故に自身のサウンドを構築するのに、アンプは非常に重要なファクターなのです。
では更に細かくアンプに着目すると・・・スタックタイプ、コンボいずれにしても、アンプヘッドによるサウンド特性を実際にアウトプットするのはスピーカー部からなのは言うまでも無いでしょうが、キャビネットの構造によって同じスピーカーユニットが装備されていても、そのサウンドは全く違うと言えます。
これまで紹介してきたDR103に代表される Hiwatt サウンドとは屈強にデザインされたオリジナルエンクロージャーによって放たれた唯一無二なオリジナルサウンドであり、このスピーカーキャビネットが有っての Hiwatt サウンドとも言えるのです。
とかくヘッドアンプにばかり注目が集まりがちですがスピーカーキャビネットにも目を向けてみては如何でしょうか?

(https://britampco.co.uk/hiwatt/shop/details/HW-SE412F-4X12CAB-F75-12-BLACK.html)画像先

HIWAT 412 キャビネットIR のご案内

国内・海外を問わず非常に多くのユーザー様にご利用頂いている DYNAX IR
メーカーページにも記載の通り、そのレスポンスと臨場感、音質は他のIRとは比べ物にならない程 高品質なキャビネットIRとなっております。
DYNAX HIWAT 412 キャビネットIR

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