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ギターネックの指板R (アール) って何?ラジアスの話 | THEONE | ハイエンド エフェクターなどの解説

カタログスペックでよく見る 指板R(アール) による演奏性の違いは?

指板R(アール) とは、ギターネックの指板表面部分が平坦ではなく、緩やかなカーブを描いており、このカーブ形状の違いを表す為に、カタログスペックなどでは、Radius(半径)の頭文字のRと表記されています。実際、184R、305R(ミリ表記)や、7.25R、12R(インチ表記)などと円の半径を表します。これら円の一部を切り取って指板表面の形状は設計されており、数字が小さいほどカーブはきつく、大きいほど緩やかになります。
フレットはこのR(アール)を持つ指板面に打たれており、実際に弦を押さえる感触に違いや、弦高などセッティングへの影響もあります。50年代から続く2大ブランドであるGibson, Fenderなどを例に、演奏性の違いや、プレイスタイルの向き不向きなどを紹介しましょう。

画像引用:https://guitar-concierge.jp/guitar-terms/compound-radius/

ギターネックの指板R

Fender伝統の7.25R(184R)

Fender社では、初のソリッドギターであるブロードキャスター(テレキャスター)に始まり、50年代に登場したストラトキャスターから現代まで、基本的に7.25インチR(184ミリR)が採用され、エレキギターの中では、最も指板のカーブがきついRと言えます。(90年代以降の一部モデルでは9.5Rなどを採用)ギターは、弦をフレット上で押さえることで発音します。
Fコードに代表されるセーハを使う場合などでは、きついR(アール)がアドバンテージになり、和音楽器であるギターにおいては、重要な要素の一つであります。ロックスタイルの親指を出して握りこむシェイクハンドスタイルでのコードワークや、カッティングなどでの1弦、6弦はミュートといった押さえ方に適していると言えます。
しかし、現代のような弦高の低いセッティングでは、チョーキングプレイにおいて音が詰まってしまい、ある程度の弦高を上げる必要があります。弦楽器であるギターは、極端の低い弦高では低域成分がスポイルされてしまいます。エレキギターでも同様で、鳴りを重視するギタリストは極端に低い弦高にはしませんね。
特にコードを弾いた時など、サウンドレンジの違いは顕著です。やはり、コードプレイを重視するギタリスト向きと言えるかもしれませんね。

Gibsonなどに代表される12R(305R)

Gibsonでは、レスポール誕生以前の時代から現代まで、基本的に12R(305R)を採用されています。(近年400Rに近い一部モデルも有るようですが)184Rに比べ、指板のカーブがフラットなので親指をネック裏に置くスタイルに向いており、シングルノートでのソロをメインとするテクニカル系のプレイヤーに好まれ、ある程度の低めの弦高セッティングも可能で、チョーキング時での音詰まりも緩和されます。握り込むロックフォームなどでは、指板が幅広く感じたり、ネックエッジ(両サイド)が立っているような感じを覚えるでしょう。

更にフラットな 指板R(アール) を採用するブランド

80年代、90年代に独自のデザインを持つブランドが次々と登場し、そのほとんどが、大きなRを採用しており、現在では400Rの指板も珍しくなくなりました。これはプレイスタイルの多様化によってもたらせられたと言えますね。親指をネック裏に置いたクラッシックフォームでの速弾きやスイープなど、テクニカルなプレイに重点を置いた設計と言える 指板R(アール) で、低い弦高設定でのチョーキングプレイも容易です。近年登場している各種多弦ギターでは、このようなフラットに近い 指板R(アール) を持つネックになります。

近年、耳にする『コンパウンド・ラディアス』って?

そもそも何故、によってこのような違いがあるのでしょうか?
指板と弦は、並行のように見えますが、実際はRに差が有ります。指板は正面から見るとナット部分からネックエンドにかけて広がるような台形の形をしていますが、Rは全て一定で円柱状です。
しかし、弦はナット部からブリッジにかけてカーブがだんだんと緩やかになっていく円錐状のカーブになっています。つまり、弦のRと 指板R(アール) にはズレがあり、指板のRが小さい(カーブがきつい)ほど、ハイポジションに行くにつれてズレが大きくなり、チョーキングなどでの音詰まりが起こるわけです。これを解消すべく、弦のR同様に指板を円柱状ではなく、円錐形状にしたのがコンパウンド・ラディアス指板です。
ナット部付近7.25R~ネックエンド部12Rなどになだらかに加工することで、ローポジションでのコードプレイでは力強い弦の鳴りを生み、ハイポジションでのチョーキングプレイでの音詰まりを解消する正に『いいとこどり』と言ってよい指板Rです。しかし、職人がRの違うサンディングブロックを使い分けて指板面を整形して行う作業であり、量産の大手ブランドの商品では難しく、一部のハイエンドモデルでしか存在しない加工です。
持ち込みのリペアで、お持ちの184ミリRギターで同様の加工を望むギタリストもいますが、難しい場合が殆どなのです。184ミリRのギターは、ストラト、テレなどでしょうが1962年後期からのモデルは、指板とネックの接着面も184Rで(ラウンドボード)指板面は薄く体積も少なく、ハイポジションに向かってRの大きな加工をすると指板面を削り落とし、ネックバックが露出してしまい不可能です。
(指板Rを変えずにチョーキング時の音詰まり解消法は、背の高いフレットを打ち、フレット上で大きなRに仕上げる方法などもあります)

自身のプレイスタイルに合った指板Rのギターを

ギターの選び方に関しては、スケール、材質、ピックアップ、E,T,Cと様々な側面があり、総合的な判断になると思いますが、指板は常にギタリストの手に触れる部分であり、形状の違いによって演奏性を大きく左右します。前述のように 指板R(アール) の違いによってそれぞれ特徴があり、自身のプレイスタイル、楽曲によっての向き不向きを踏まえて理解したいですね。
キャリアを積んだギタリストならカタログなどのギターのスペックを見ただけで、ある程度の感じは想像がつくと思いますが、実際に様々なタイプのギターを弾くことで、細かなスペック表記が意味する違いの理解に繋がります。どんなギターが自分にとって良いかは、出したい音、プレイスタイルやバンド内での立ち位置など、あるいは掌の大きさや指の長さなど身体的特徴の違いによっても様々だと思います。
ネックのシェイプや幅などと同様に 指板R(アール) の具合も自身のプレイヤビリティに直結する重要なファクターです。これらを数値で把握することで、ご自身の理想とするギター選びに役立つ知識になるでしょう。

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